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「彼女は俺がいなきゃダメだって言ってくれる」
私も宏紀にいて欲しいと思ってるよ。
でも彼女…って、呼ぶんだね。
もう何を言っても無理なのかな。
「わかった。
宏紀を必要としてくれる子を大切にしてあげて」
きっと、その方があなたも幸せになれると思うから。
言い訳を心の中だけで呟いて、
涙も見せず淡々とそう言った私を、
宏紀はきっと誤解したままなんだろう。
足早に私から去って行く背中を、ただ見送った。
もう、分かり合う努力をする気力がなかったんだ。
何を言っても現状を変えられるとは思えなかったから。
すがりつけるほどの若さも、情熱も私にはなかった。
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