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「だから言ったじゃない。 あんな男やめとけって!」 テーブルに一気飲みして空になったビールジョッキを音高く打ちつけて、大きな声でそう言ったのは、前田香織<マエダカオリ>。 私の唯一とも言える親友だ。 「ちょっと、うるさいよ」 ざわめく店内に負けることなく響く音と声に、眉をすがめて言ってみたものの、彼女がそんなことでひるむはずもない。 「だいたい、偉そうに人を変えるなんて言う奴にろくな男はいないのよ!」 2杯目のビールを注文しながら香織は益々ヒートアップする。 そんな香織に軽く相槌をうちながら、私はお通しに箸をつけた。
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