赤と黄色のご馳走

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  「最近、家に入れてくれないね」 堀内と付き合い始めてから、ある人からこんなメールが届いた。 友達以上恋人未満。 言ってしまえば、ヤり友だ。 相手は8歳年上の社会人、深瀬さん。 性別、もちろん男。 出会いは――表向きでは“オフ会”だけど、現実は……まぁ、そこに行けば同種がいるっていうスポットがあって、そこで会った人。 自分の中に、女を家に入れてしまったという疚(ヤマ)しさがあるのか、堀内が家に来た日から深瀬さんを家に呼んでない。 「駄目、汚いから」 そう返事を返すと、深瀬さんはそれ以上何も言ってはこなかった。 あの人とは本当、後腐れのない関係を築けていると思う。 でも、このままずっと深瀬さんを家にあげないっていうのは、俺としても問題があって。 ホテルに行ってまでするのは好みじゃないし、家でまったりして、その流れでそうなるってのが俺は好き。 ――部屋の匂い消し買いに行くか。 堀内が帰ったあと暫くの間、シャンプーなのかなんなのか、俺からはしない匂いがする。 それが花なのか果実の匂いなのかは分からないけれど、俺の使っている柔軟剤の匂いではないのは確かだ。 「深瀬さんに何か突っ込まれたら、芳香剤だって言えばいいかな」 そう思うけど。 女の匂いが残った部屋で男2人が抱き合うって、ね。 今度堀内が家に来ることがあったら、なんの匂いか聞いてみようと思った。  
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