霞む瞼の裏

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  「ちゃんとやれてるのか?」 テーブルの一番端に座って、それまでずっと口を開かないでいた宮川が突然呟いた。 元は宮川は野崎の知り合いで、最近は俺とも話してくれるようになって、構内にいる時も外で遊ぶにしても、必ず野崎とこいつはいるって言えるほど一緒にいる。 宮川はとにかく無口な奴で、顔は悪くないのにツンケンしているところがあるから、数少ない女子にもあまりよろしく思われていない。 少年誌によく脇役で出てくるような、秀才くんのキャラそのまま。 最初は俺も、なんだこいつって思ってた。 でも俺の話を、野崎の次に親身になって聞いてくれて。 俺は好きだよ。 最近どこのどいつを見ても黒縁眼鏡をかけてるっていうのに、宮川が常にかけているのは細いシルバーフレームの眼鏡。 お前は分かってるよ。 誰よりも鼻筋が通ってるから、本当にそれがよく似合う。 本人にそれを言ったら『そういう目で俺を見るな!』って、まぁ声高らかに取違えてくれたっけ。
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