霞む瞼の裏

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気持ち、か……。 「自分がいるってことを言いたかったんじゃないかと、俺は思う。きっと、伝え方が分からなかったんだろうね。可愛いじゃん、堀内さん」 「可愛い……」 俺は野崎の言葉を繰り返し呟きながら、どこにそう思う要素があったか考える。 「そうじゃなきゃ、お前に対して終始真っ赤になってる子が、急にあそこで『好きです』なんて言うわけない」 「まぁ、ね」 だったらさっき俺は、堀内のそれに力づけられたの? 「ね。告白された時と比べて、彼女に対するお前の胸中は何か変わった?」 「……」 眉をゆるめて穏やかに笑う野崎に、俺は、何も返せない。 多分、野崎は気付いてる。 何も返せないことが、変化だ。 最初から堀内のことは、そこらの女とは少し違うなって思ってた。 でもそれで、堀内を好きになるってことにはならないよね? そもそも俺は、例え相手が男でも、押し倒してどうこうしたいって思ったことがない。 そんな人間が、女を、堀内を好きになるってことあるのかな。 その人を自分のモノにしたいと想うことが、男女の恋愛の成り立ちなんじゃないの。  
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