赤と黄色のご馳走

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今日は理由があったから、仕方なく家に上げた筈なんだけど――。 「え。それであってるけど」 聞けば、ちゃんとレポートの出し方から期限まで理解している。 「う、うん……」 少し眉を上げた堀内は、罰の悪そうな顔をしてテーブルに視線を落とす。 こいつ……。 「もしかしてアンタ、俺んち来るために嘘ついた?」 俺は別に、声を大にして言ったわけじゃない。 それなのに堀内は、ヒッと息を飲んで勢い良く頭を下げる。 「ごめんなさいっ」 「嘘つかなくていいから……来たいなら正直に言いなよ」 顔を上げて目を悪くした堀内を見て、あーあ、いらんこと言ったな俺、と明後日の方向を見る。         この調子じゃあ、いつまでたっても深瀬さんと会えない。 ――♪……♪♪ テーブルの上の物を片付ける堀内をぼんやり眺めていたら、突然携帯が震え出して着信を知らせる光を放つ。 「ごめん、電話」 「あ、はい。わ、私はスリープになっておきます」 お前は携帯か、と声に出さずに突っ込むと、鳴り続ける携帯を開く。 画面には、深瀬さんの名前が出ていた。 「もしもし」 『あ、ごめん。今、大丈夫?』 携帯の向こうから、歩行者信号の電子音が聞こえる。
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