赤と黄色のご馳走

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家にケチャップがないことを思い出すと、2人でスーパーに寄って買い物をした。 深瀬さんはその間ずっと、俺の家に行くのは久しぶりだとにこにこしてた。 「――深瀬さん」 「ん?」 「オムライス作ってくれるんじゃなかったの?」 「……先に馬木くんを食べる」 アパートに着いて、家に上がった深瀬さんの足はキッチンへ直行するかと思ったのに。 スーパーで買った物を冷蔵庫に入れることもせず袋を床に置いた深瀬さんは、いつの間にかベッドの上で、俺の体に跨がって見下ろしてくる。 先に俺を食べるって言い方、卑怯だよね。 少し照れているように見える深瀬さんは、堀内が顔を真っ赤にした時と、どことなく感じが似ていると思う。 「可愛いな、深瀬さん」 深瀬さん相手だと、可愛いなんて単語も自然と出てくるのに。 「……駄目、かな」 「――いいよ」 深瀬さんの頭が俺の首筋に埋もれると、少し硬い髪がわさわさと頬をくすぐる。 後ろに手を添えて、掬おうとしても掬えないそれは堀内のと違う。 低い声に、乾燥した肌に、あぁ男だって思う。 ……駄目だな。 せっかく深瀬さんと気持ちいいことしてんのに、比べる相手が女、しかも堀内だなんて。 「馬木くん……」 吐息混じりの声が耳元で聞こえる。 深瀬さんの瞳の奥を見つめながら、堀内のことを考えていた。 別に、堀内のあそこが嫌だ、とかないのに。 でも、こればっかりは――心どころか体も受け付けないっていうんだから、仕方ないよ。
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