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「どんな……?」
顔を見上げると、響は優しくてちょっと寂しげに微笑んだ。
「ちょっと待ってな。静也さん!! ハンバーグ3つに半熟目玉焼きー!!」
喫茶店の扉を開けると、中も確認せずにそう叫んだ。
カラカランと扉の鐘が響く音を聴きながら、頭を掻く響が何を言うのか待った。
「その、昨日はヨかったのかなと」
「へ!?」
「やっぱ俺、此処から離れたくないってーか、3人でって気持ちが変わらないんだよね」
「まだ嘉山に会ってないでしょ?」
「……会わなきゃいけないの? それってそらの荷物の為? 俺の為?」
「響の為よ。あんなオッサンから逃げてコソコソ生きるのは嫌でしょ」
「…………」
まだ納得できないのか、響は黙ってしまった。
私も腕を組んで下を向く。
「そらが聖さんに抱かれたのは、聖さんが好きだから?」
「そうね」
「あの女から奪いたかったからじゃ、ねーんだな? 俺の事も吹っ切った?」
響の、何を答えて欲しいのか分からない質問に苛々してしまう。
何? 何が聞きたいの?
「勝手に消えといて、しかも好きな人までできておいて、何で私を責めるの?
響から好きな人、奪いたかったからお兄さんと寝たとでも言いたいの?」
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