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馬鹿だ、とか、
不誠実だ、とか、
馬鹿馬鹿しいとか、
色々と思うことはあったはずなんだけど、
それでも愛しくて、それでも好きで、
それでも繋ぎ止めたいのならば、
この時間だけでも一緒に居たい。
花が香る甘い甘い愛の時間。
「今度はそらの番だよ」
響に目隠しをされた。
私の唇に触れる口づけと、指先に落とされる口づけ。
……見えない分、敏感で背中や足に甘い電流が流れた。
「どっち?」
そんなの目隠ししてるからこそすぐ分かる。
甘い花の香りは唇に、
ミントのような爽やかな香りは手に。
簡単すぎて笑いが溢れた。
「もっと」
『難しく』そういった意味のつもりだったのに。
「もっと『大胆に』していいの?」
楽しそうに尋ねる響に、クスクスと笑うお兄さん。
「でもね、響。残念ながらそらは僕のものです」
「まじ?」
「はい。そして君は、誰のもの、なんでしょうね?」
チュッ
と音を立てて軽く二人はキスすると、私への愛撫を再開した。
ああ、このまま二人の腕に閉じ込めて。
離さないでずっとずっと、この花に埋もれていたい。
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