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「それより今日は仕事は?」
口に付いたヨーグルトを舐めながら、響が聞いた。
「僕はプレゼント用のフラワーアレンジメントのお仕事と、手作りブーケ教室、あとangelgardenの花嫁さんとデザインの打ち合わせです」
「そんなに1日で溜め込んだりしたら駄目って言ってるのに」
「好きな人の誘いを断れなくて、ね」
そう言うと意味ありげに私に微笑みかけた。
……そうですよ。昨日は私の挑発に乗ったお兄さんと夕方まで寝てたし、それ以降はお兄さんは響を縛ったりイチャイチャしてたもんね。
「俺はテナント探しは一時中止かな。店は持ちたかったけど、どうなるか分からなくなったし」
響の表情が暗くなった。ヨーグルトを持つ手が震えている。
――まだ響に真実を教えてない。嘉山の本音や、気持ちを。
……言ったら響は行ってしまうかもしれない。
自分の歪んだ愛情を認めてしまうかもしれない。
「そらさえ良ければ、僕の店で働いてくれませんか?」
「え?」
考え事をしていたので急に言われてびっくりした。
私もまずは仕事、考えなきゃいけない。
「正社員として給料もちゃんと出しますよ。受付や予約などの電話番が主ですが」
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