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『そうですね。誰でも良いです。その人が離れない保障なんて無いですし』
『可哀想な人ね』
『寂しい人なんです。慰めて下さい』
それ、は、ただただ言葉を転がすだけの、
体だけ求める時の、挨拶みたいな駆け引き。
馴れてしまった僕は、ただ笑う。
それで大体分かります。ああ、この人は拒絶しないな、と。
香織さんも、そうでした。
強気に笑いながらも、一夜だけの楽しさを、簡単さを知ってる人でした。
楽だし、大人だし、包容力もあるし、
こんな甘っちょろい僕を寛大に赦してくれる人でした。
ブライダルプランナーは忙しくて、会えない日もたまにありました。
そんな日は、誰かと寝たり、遊んだり。
ただ思考に更けて眠れない夜を、一人で過ごすには退屈で。
温まれるなら誰でも良かった。
だから香織さんにいっぱい甘えました。
全て香織さんは受け止めてくれたから、彼女の年齢も考えてプロポーズもしました。
――この人はどこまでなら赦してくれるだろうか?
――誰と寝ても一夜だけなら、構わないのだろうか?
結婚しても、それを楽しむために。
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