溶かして固めたキモチ

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「合うとか合わないとか、馬木が決めることじゃないと思うけど」 「なんで……? 付き合って合わないって思ったから言ってる」 「堀内さんの気持ち、全無視じゃない。それとね馬木。やっぱりここで、俺や宮川のいる前でする話じゃないよ?」 「……」 うん、お前らしいね。 でも……野崎はいつも俺の味方だったじゃんか。 「あ、あの……私……」 「いいよ堀内さん。ここで答えなくていい。馬木とちゃんと、2人で話しな?」 「……」 馬木、野崎に名前を呼ばれると、カップに添えている指先がピクリと反応する。 「今日はゆっくり、歩いて帰ろう」 「……」 カップに残っていたコーヒーを飲み干す野崎。 俺は無言のまま足元に置いてあるいつもより軽いカバンを取ると、それを斜めにかけて帰る支度を始める。 俺の後ろに立った野崎が、宮川の肩に手を置くのが見えた。 「?」 なんだ?という顔で野崎を見上げる、俺と宮川。 「ということで、宮川は堀内さんを送ってあげて?」 「えっ?」 「はっ?」 宮川と堀内の声が重なる。 イスの背に片手をついて振り返る宮川と、堀内はイスから腰を浮かせて野崎の顔を見ていた。 「行こう、馬木」 「え――。あ……うん」 「ちょ、馬木っ」 宮川のその助けを求める声はとても珍しかったが、野崎が俺の手を引くから、俺は空いている手を縦にして宮川に謝る仕草をする。
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