溶かして固めたキモチ

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  会計を済ませて外に出ると、夜になった空を一度見上げて、何となしにガラス張りの店の中を見やる。 さっきまで座っていた窓際のカウンターに、どちらも下を向いてそこから動かないでいる宮川と堀内の姿。 それを目に映しながら、もしも俺が堀内だったら、と咄嗟に考える。 自分を好ましく思っていない人間と取り残されて、その状況を打開出来る力もない。 ……全く以て耐えられそうにないな。 「彼女のこと、心配?」 そう言って先に行く野崎を見ると、俺も店の前から離れて歩道を歩き始める。 「置き去りにした俺も言えたことじゃないけど……宮川の気持ちになってみろよ。息してないんじゃないか、あれ」 「ハハ。あぁ、宮川の方を心配してたの?」 ハハって。 「……気持ちになってみろ、か。馬木はさ、よく俺のこと出来た奴だって褒めてくれるけど。馬木も結構、いい人だよね」 前を歩きながら喋る野崎が顔を横に向けると、白い息が出ていた。 俺は車道を走る車のライトに目を細めてブルゾンのジッパーを上まであげると、外の気温に首を竦(スク)める。 「俺が……」 いい人? ハッと短く息を吐いて、さすがお人好し、と呟く。
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