溶かして固めたキモチ

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  大学2年目の後期は何かとレポート課題が多くて、深瀬さんに『大学とバイトの両立なら出来ている』と言った手前、ここで単位を落とすわけにはいかない。 スーパーのバイトから帰ってきて風呂に入ったりしていると、レポートに取り掛かる頃には日付も変わっていることが多かった。 そういう意味では充実した大学生活を送る俺は、年末と年が変わって暫く、深瀬さんとは会えないでいた。 ……堀内とは大学で顔を合わせていたし、おせっかいな友人の計らいで度々昼食を一緒にとるなんてこともある。 ただ、それだけだけど。 変わったことはない。 事あるごとに『別れる?』と関係を終わらせたいことを隠さず所望する俺に、やっぱり堀内が首を縦に振ることもない。 その一方で、周りの連中は堀内と親睦を深めていたような気がする。 強引な奴もいたけど、それを見て俺が手を差し伸べることなんて当然なかった。 堀内は誰と話しても毛を刈られる羊のような挙動だったけれど、野崎にはリラックスしているように思う。 それでも挙動不審なところはあるけれど、野崎には笑う以外の顔も見せていた。 野崎伉太(コウタ)。 性格温厚、気丈な男で、俺が最も信頼出来る人間。 彼氏にするなら文句なし。 俺は、野崎はごめんだけど。 こんなに人として相性が良くて、ずっと付き合っていきたいと思える人間。 もし恋人として付き合えたとしても、俺は経験上、男と男の恋愛に一生はないと思っているから。 “いつか別れがくるのなら” そう考れば、必然と野崎を好きになることはない。
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