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「――なんで宮川は、堀内が他の女と違うって思った?」
『……こっちが黙っていても、無理矢理話をしてこない。女は、口を開けば自分の話ばっかだ』
「そうだねぇ」
『それに……多分、俺が良く思ってないことに気付いてる』
「……そうだな」
『何かの本で読んだんだが、人は鏡になっているらしい』
「鏡?」
『自分が相手を嫌うと、その相手も自分を嫌うんだと。笑ってくれる奴には、笑い返したくなるだろ?』
え、宮川もそうなの?と、聞き返したくて仕方なかったがグッと堪える。
『周りの女共は、俺が側を通る度に何か言いたげで、文句でもあるような顔をする』
……気付いてたんだ。
『堀内はいつも下を向いていて表情を見せないから、こっちが不愉快になることはない。
最初は視界に入るのも鬱陶しかったし、今もいるいないなら、いない方がいいと思うが……。
最近あの女を見てると……後ろめたくなる。自分が悪いような、そんな気がしてくる……』
“家に帰った後に反省してたりして”
ついさっきまで一緒にいた野崎に言われた言葉を思い出した。
宮川の後ろめたい感情は、俺のそれと似てるの?
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