溶かして固めたキモチ

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「受け取って下さい」 「……」 俺はそっと手を出して箱を受けとると、さっきまで強ばっているように見えた堀内の表情がへにゃっと柔らかくなった。 「――じゃあ」 あ――。 微笑を浮かべた堀内は足早に去ろうとする。 「堀内――」 俺は咄嗟に名前を呼んだ。 椅子を引いて立ち上がった俺は、足を止め、リュックの肩ヒモを両手で握って背中を丸めている堀内を見つめる。 こっちを振り向かない堀内に、俺は一度唇を閉ざした。 俺の方がどもってしまいそうになっていて、笑える。 「撤回させて」 「……」 「別れるの、なし」 我ながら何様だよと、俺はいつから御都合主義者になったんだよと思うけど。 「ちゃんとするから」 隣の野崎がにこやかな顔をしているから、なんだか気持ちが落ち着いて、どう言えばいいのか悩んでいた言葉もスルスル出てくる。 「それでも駄目だったら……アンタももういいやってなったら、その時は……」 俺が言い終える前に、堀内がコクンと頷いた。 そしてもう一度、もう一度と首を縦に振る。
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