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「乾かすの大変じゃない? それ」
「あ、大丈夫です。夏は……何回も切りたいって思いますけど」
「ハハ、そうだね。でも、今の季節はあったかそう」
話をしている野崎と堀内を、俺は猫背になって宮川の顎の下から覗く。
付き合えばいいんだ……。
野崎は今彼女いないし、堀内は4ヵ月経っても彼氏がこんなだし。
“別れる?”
ふいにその言葉が、俺の声で、口調で、脳内で再生された。
……そうか、いつも聞くから駄目なんだ。
告白を受けたのは自分だからと、4ヵ月“付き合った”んだ。
もう充分だろ。
「堀内」
テーブルに腕を乗せ、爪を眺めながら名前を呼ぶと、堀内は返事をしながら俺の視界にひょこっと顔を出す。
やっぱり俺は……女として好きにはなれないんだから。
「別れてほしい」
「――」
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