溶かして固めたキモチ

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何か言ってくるかと思ったが堀内は何も発さず、 「馬木……なに言ってるのさ」 俺の耳に入ってきた声は、野崎のものだった。 一瞬野崎に目を向けると、渋い顔をして笑っている。 温くなったカップを触りながら俺は、今どんな顔をしているか分からない堀内に口を開く。 「アンタには、野崎みたいな男の方が合うと思う」 野崎に『お前の胸中は何か変わったのか』と聞かれて何も答えなかったのは、確かに知り合った頃より堀内のことが分かってきたから。 人として嫌なら、こうして野崎に進めるようなことはしない。 ちゃんと空気が読めるし、一緒にいてもうるさくしない、ワガママ言わない。 化粧臭くないし、かといって女を捨ててるってわけでもなさそうだし、髪の触り心地は凄く良さげ。 でも、堀内相手にキスしたいとか、めちゃくちゃしたいって思わないんだ。 堀内は俺としたい? 俺は――ごめん、やっぱり無理だ。 したくない。 ただ唇を合わせる行為も、アンタには出来ないんだよ。 ねぇ、“友人”じゃ、駄目なの?
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