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「ちっ…千晃!!!」
俺は思わず、千晃を追いかけようとした。
佐藤さんが腕を掴んだ
「…そんなに千晃ちゃんが好き?
あの子がどうなってもいいの?」
なっ…
「お前何考えてんだっ」
「おい、悠!
なんで追いかけないのよ!!!」
「千晃ちゃんから引き離して見せる。」
佐藤さんはそういって図書館を出ていった。
「あんた、何考えてんのよ。」
「別に? 愛莉ちゃんには関係ないわよ。」
…
「俺、行ってくる。」
駆け出した。
「悠!」
「私は、悠と千晃を信じてるから!」
こいつ、やっぱかっこいいよな
「愛莉、ありがとよ!」
雨が降っていた。
まだ肌寒い。
「千晃ー! どこにいるんだ!!」
千晃…俺、もっと早く気持ち伝えていればな…
ごめんな…
中途半端でごめんな…
はぁ…はぁ…はぁ…
どこなんだよ…
気づいたら雨はやんでいた。
目の前には大きな水たまり。
そこに、千晃の顔が見えた。
「悠…、私は、悠が好きだよ?
いつまでも待ってる。
だから、お願い。
中途半端な気持ちではいないでね。」
そう、聞こえた。
あぁ、俺は今、まだ中途半端だ。
このまま他愛もない会話して
笑いあっていられればいいと
現状を維持することしか考えていなかった。
さっきも…
ごめんな、千晃…
ポチャン
「ん?」
「あんたも、この虹のように綺麗だよ。
そのうち消えてしまうかもしれないくらい儚いけどねぇ。」
水溜りの上におばあちゃんがいた。
その背後には大きな虹が出ていた。
「おい、まさか、俺…」
まさかな、そんな訳無いよな…ははは。
気づくとおばあちゃんは消えていた。
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