ふたりの告白(後編)

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「馬木くん」 来た道を引き返そうとしたら、自分を呼び止める声が聞こえた。 胸の前で手を握って張り詰めた顔をした堀内は、まっすぐな視線を向けてくる。 「好きです」 「……」 微かに口を開けるが、すぐには何も返せない。 視線が交差したまま、静かな時間が流れる。 学校の食堂でもそうだ。 この人ほんと、突拍子もなくそういうこと言ってくれるよね。 ネガティブなこと言ってんなと思ったら、アクティブになったり。 「知ってる」 一瞬頬に笑みを浮かべると、堀内に背中を向けて歩き始める。 2、3歩歩いたところで気付く。 体の真ん中が、何やら騒がしい。 なんだこれと思う俺は、心の中で『まさかお前、女相手にそうなってんの?』と、いつかの自分に指を差されてせせら笑われている気分。 堀内にドキドキするとか、なんか悔しいんだけど。 目を薄めてぶすっとした顔で、堀内と歩いた道を引き返す。 本当は気付いてる。 とっくに酔いはさめてるってこと。 まともな思考の中で、抱きしめたいと思った。手を繋いだ。 元の顔に戻して、薄い雲の向こうが見える明るい空を見つめる。 そういえば、今見上げているこの空にも自分の行動を見られてんだよな。 ――それからは、視線を地面に落として歩いた。  
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