ふたりの告白(後編)

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「え?」 やっと、搾り出すようにして出た声が、自分で聞いても困惑しているのが分かった。 『本当は、会って言いたかったんだけど』 えっと――ちょ……っと、待って。 深瀬さんとは後腐れのない関係を築けてる、って言ったのは、誰だ? 「そんな、素振り……」 『ごめんね、馬木くん』 受話口で謝る深瀬さんの声は、年上の大人の男の口から出たものとは思えない程、酷く、痛々しかった。 思考が追っつかないって、このことだと思う。 『また……連絡してほしい。彼女、体調悪いのに引き止めて、ごめんね』  じゃあ、その言葉を最後に電話が切れた。 “好きなんだ” 何度も耳の奥で再生される深瀬さんの声。 ツー・ツー、と不通音が鼓膜に届いてハッとする。 深瀬さんに告白された、よな。 好きって、そういう意味? 目の前の鉛筆男は誰なんだ、とか。 なんで深瀬さんが俺のことを好きって言うんだろ、とか。 軽く混乱どころじゃない、度外れて頭の中がパニックになる。 まるで、俺が綺麗に並べたカードを人の手によってぐちゃぐちゃに混ぜられたみたいに。 訳が分からないまま、その場から一歩二歩進んで、2人に近付いていく。
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