ふたりの告白(後編)

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堀内の耳元でボソボソと何かを呟いてる男。 その頭にゆっくり手を伸ばして、押し退ける。 「はい、そこまで」 俺とさほど身長差のない男は、同じ目線で俺を見る。 目が据わっていて、俺が視線を反らすまで動かない瞳。 「彼氏と上手くいってるんだ」 俺に視線を向けたまま言うと、堀内の腕からダランと手を離す男は、どうやら俺と堀内の関係を知っているみたいだ。 近くで見るともっと痩せて見える男は、手首の骨が浮き出た手をダルそうに首の後ろに運ぶと、抑揚のない声で呟く。 「また、話聞いてもらおうと思ってたのに」 そう言い残してゆっくり歩き出す男は、大学の方へと歩いて行く。 のそのそ横断歩道を渡る男から目を離すと、全く口を開かない堀内を見下ろす。 ずっと俯いているからか、後ろ髪が左右に分かれて白いうなじが覗いていた。 なんで女って……こんなに細いんだろ。 堀内の、女の細い肩を見て、いつもそう思った。 痩せただ太っただ、女の口から毎日1回は聞く言葉。 もっと肉付けて、強くなれよ。 耳に障る高い声で笑っていたかと思えば、ヒステリックに泣いて喚いて。 誰かに守ってもらわないと生けてけない。
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