犬鬼灯 【イヌホオズキ】

3/16
前へ
/74ページ
次へ
「あ、そうか。お前は別のクラスだったもんな。わたぬきは一年生の時から入院してて」 『山中せんせーい、お電話ですー!』 「はい解りました!じゃあ佐藤、わたぬきは大学病院の内科で入院してるから。受付で名前を言えば解る」 そう言うと、担任は走って行った。いや、会ったこともないやつのお見舞いを頼まれても困るだけなんだが。 はぁー、と深く深く溜め息をついて、教室に向かった。 「なぁ、わたぬきってやつ、知らない?」 爽やかさそのものの笑顔を浮かべて、クラスメイトに聞いていく。全員の答えは否。そろそろ担任の頭の方の心配をしていい頃だろうか。 「なぁ、わたぬきってやつ、知らない?」 「あ、俺知ってるよ。わたぬきだろ、一年生の時から入院してる」
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加