犬鬼灯 【イヌホオズキ】

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へらーっ、と手が挙がる。妙に眠たそうな顔をした男子。名前は……賀山光(カヤマアシタ)だったか。光と書いてアシタと読むのは珍しいから、覚えていた。 淡々と賀山は続ける。 「『わたぬきよう』だろ、確か。凄い大病を患ってそろそろ半年くらい入院になる」 「ふーん……どういうやつ?」 「知らない……けど、少し変わってるかな」 「変わってる!?」 すっとんきょうな声をあげた俺に全然動じない瞳を向けたまま、賀山は薄く笑った。 「普通だぜ?至って平々凡々極々普通。変わってるけどな」 「結局どっちだよ」 「知らね。キョーミねぇもん」 ふぃ、と賀山はそっぽを向いた。本当に興味がないみたいだ。賀山の男子にしては長い髪は校則的に大丈夫かなと少し思った。
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