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「…そんなに泣くほど俺に会いたかったの?」
恭ちゃんがお得意の意地悪な笑顔で私の涙を指ですくう。
でも、その意地悪な笑顔にさえ、ずっと会いたかったのは事実。
「……会いたかった……」
こういうとき素直になれるのは私の唯一の長所だと思う。
恭ちゃんは、目を見開いて顔を横に背けて深くため息をついた。
「…お前ってほんとに……」
「え…?」
「…いや、今はいい。それより聞きたいんだけど」
恭ちゃんが荷物を玄関の中に入れて、私の後ろにいる人に冷たい視線を送る。
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