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『ごめん。今アンタの顔の周り、汗マークいっぱいなんだろうなって想像したら、思った以上に飛ばしすぎた』
「汗、ですか? お風呂から出たばかりですけど……まだ汗をかく程暑くはないよ?」
『いい、こっちの話』
「えぇ?」
『ほら。月曜、堀内はドライブでいいの? 車借りられるし、もし堀内が行きたいとこあるなら――』
「じゃ、じゃあっ」
『ん?』
「私の家は、どうでしょうか」
『またー?』
またかよ、と低い声で言われたらどうしようかと思ったけど、馬木くんの声は笑い混じり。
「あの、この間のお菓子が、まだ」
『あぁ、そういや約束してたっけ』
「どう、ですか」
沈黙が流れる。
私は何もないテーブルをじっと見つめて、正座待機。
『じゃあさ、うち来る?』
「へ? でも私、出入り禁止じゃ……」
『おいでよ』
「……」
真顔でゆっくり首を回して、枕元に置いてあるひつじの目を見つめる。
家においでって、言われたよ。
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