青の章

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「……もともと、すべての試練は1人で受けるものだろう」 渚はサービスワゴンの横に立ち、窓のほうを見つめた。 「ええ、でも、仲間や相棒って、人だけに限らず物もそうでしょう。ここから、本試練が終わろうとも、赤のパビリオンに至るまで、仲間、つまり、あなたの助けになる物は没収させて頂きますって。 あなたの場合は、このメモ帳と判断したんですって、試練の際、いつも使っていらしたんですって?」 「……なかを見たのか?」 「いいえ、そこまで下衆ではありませんって」 次に、渚はエプロンポケットからマジックペンを取り出し、大和に差し出した。 「とは言え、これでは単なる嫌がらせ。どこにでも書ける魔法のペンをお貸しします、本試練においては、よかったら、こちらを使ってください」 馬鹿にしているとしか思えない渚の言動だが、大和は素直にマジックを受け取った。 そして、そのマジックを受け取ったとき、微々たる光が大和の脳裏に差し込み、 彼は既にメモ帳の奪還を諦め、素直な気持ちを口にした。 「……クソ寒い部屋や、雨のなかの宝探しをさせられた今までに比べれば、楽か……」 「……そう思うなら、何よりですって」 渚はそう言うと、メモ帳をエプロンポケットにしまった。
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