極光の章

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光は『自分の存在こそ、大和の父の死の原因だった』、と13年前の真実のすべてを包み隠さず大和に告白しようとした。 もちろん様々な葛藤もあったが、『大和を支える』という強い愛情は、早くから『生きて償う』という決心をさせた。 しかし、それを母梢に止められた。梢が、冥と光を引き合わせていた。 それが危険なことであると予感していたが、健気な光の様子と冥の覚悟に心折れての判断だった。 だが、梢はたとえ小指の先ほどでも、大和の怒りが光に向けられることを恐れた。 梢ははじめ、真実を教える代わりに、大和と光を別れさせようとした。 しかし、梢の勧めに光は首を縦に振らなかった。 加えて、かつての長門家において起きた長女の妊娠発覚の件のように、光の身にも異変が起きていた。 この一件は文、昴、慎の耳にも届くことになり、こうして、大和の知らぬところで、長門家の文、梢、昴、慎、そして光は、21代目当主殺害事件以来最大の家族会議を迎えた。 場所は改築した長門家の新たな屋敷、長門の過去の屋敷のいいところを選せ集め、最高の資材と資金を投入して建築された通称〝回想物件〟と呼ばれる屋敷1階、和室で行われた。
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