極光の章

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「……その試練の名は、婚葬の試練、七色七問……13年前に執行された商業契約試練と同じ名ですが、 その本懐は、大和様と私の契りを、他の長門家に認めてもらうための試練です」 大和によるその突破が、長門三代の女全員が納得し、長門公認で光を嫁がせ、 かつ大和の怒りの矛先を鎮める唯一の方法として皆を納得させた。 遠回りで不器用な計画が実行されたすべての原因は、我が子の安全と想いの成就を願う、梢の執念、そして昴と慎の後押しだった。 「……不器用で、酔狂な家族で、申し訳なく思います。ですがあらゆる家庭において、結婚において〝普通はない〟と姉が言っていました。 そして、家族が一堂に会し、家族の行く末を案じる〝この普通〟を長門にもたらしてくれたのは、霧彦さんです。 あの方の存在で、あの春の4月1日に彼が来たときから、長門家は変わりました。 恨めしいはずの長門を、1人も傷つけることなく、内側から変える、最大に難しいことを……お義父さまとお義母さまの息子さんは、やって退けたのです」
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