極光の章

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「家出……そう、家出ですね、申し訳ありません、いちから説明を……」 「いい、いらない」 と言って、大和が光を思い切り抱き寄せた。 光はその瞬間、大和の背中で驚きの表情を浮かべ、じょじょに顔を歪ませた。 「き、霧彦さんのお父上が亡くなった原因は……わ、わたくしです」 「……知っている」 「ひ、光は、思い込んでいたのです、あのチャペルで起きた出来事が、夢、悪夢であったと!」 大和は再度「知っている」と言って、さらに強く光を抱き締めた。 「申し訳ありません、申し訳ありません、光は、光は……霧彦さんのお父様の……!」 光の声は既に震えていた。大和もまた震える声で、光の耳に囁いた。 「父さんが……父さんがさぁ、光の命を……命を繋いでくれたんだぁ」 次の瞬間、光は咽び泣いた。涙を流し、鼻水を垂らして、彼女は大和を抱き締めた。 「ああ……霧彦さん、霧彦さん……!」 彼女はひたむきに、そんな言葉を繰り返し、そのたびに大和は光の頭や背中を優しくさすった。
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