第1話

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「僕はこの、マイルドセブンって煙草の味がどうも好かない」    拾ったシケモクに百円ライターで火を着けて一服するボタン太郎は、未だ十歳の少年だった。    彼に親はなく、物心の付いた時にはどぶ川で遊び、そこいらの乞食らと共に残飯を漁りに街に出るという生活を送っていた。    彼の着ているワイシャツは、所々貝ボタンの欠けている大人用の物で、袖ボタンを留めているにもかかわらず手の平が半分程隠れてしまっていた。
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