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「なに、礼には及びませんよ。なにせ私は死んでいますから、お金など持っていても使えません」
「私は不幸? にも生きておりますので、お金はどうしても必要となります。無くても生きてはゆけるのですが、どうも不便で」
「解ります。私の死んだ理由も、そのお金というものが原因ですから」
「生きる為に金が要り、金のせいで命を落とす。せちがらい世の中でございますね」
幽霊は表情の解らないその顔で笑って見せた。
「さて、今日は千円もあるんだ。なにか美味いものが食えるでしょう」
「いえ、僕はこの千円札で、このワイシャツをクリーニングしたいと思っているのです」
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