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帰宅後竜夜は直ぐに自身の勉強机周辺を探し始める。
「あったあった、これだな」
見つけた大会参加表を眺め竜夜は思う。
(こんなぬるゲー(イージーゲーム)やって、なんの意味があるんだか…)
竜夜は先々月、先月とこの大会に参加しクラス内で2連続1位、学年でも300にも届く生徒の中2回とも50位以内、学内ランキングでも一年の割にはそれなりの成績を納めているのである。
たった2回の大会参加で竜夜が感じたことは一つ。
つまらない、だ。竜夜はクラス内に自分に並ぶ者がいないことを残念に思い、学年でもその数が50に満たないことに絶望していた。
(別に1位を取る必要なんかねぇし取る気もない。ただ、もうちょい楽しめる戦いがしたい…)
他学年との私闘を禁じられている(特例は存在する)藍刻学園では同学年の者としか戦う機会は無いと言える。
そんな中自身が最強でないにしろ敵が殆どいないことを面白いと思っていない竜夜にとって、この大会はただの作業でしかない。
(ま、暇つぶしにはなるか…)
そう思い竜夜は参加の字に丸をし、名前と所属を書き学校に持って行く。
学校についた竜夜は職員室に入り、倉橋先生の机に向かう。
机では倉橋先生が生徒への配布プリントを作成しているところだった。
「倉橋先生、参加表持ってきましたよ」
竜夜後ろから声をかけると、ようやく此方の存在に気づいたのか倉橋先生が竜夜の方を向く。
「あ、やっと持ってきましたね。来月からはもっと早く持ってきてくださいよ」
そう言って竜夜は持ってきた参加表を提出する。
「ねぇ霧裂君」
竜夜から参加表を受け取った倉橋先生が話し始める。
「あなた、この大会を詰まらないって感じてるでしょ?」
竜夜は顔には出さないも内心とても驚いていた。
「…そんなことないですよ」
少しの間を置き答えると、倉橋先生は首を横に振りそれを否定する。
「嘘よ、顔に書いてあるわよ。こんな詰まらないもの、暇つぶし程度にしかならないな、って」
自分はそんな顔をしているつもりはないのだが、倉橋先生にはそう見えるのだろう。
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