始まり

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「…仮に詰まらないと思ってたとして、どうするんですか?」 「詰まらないって感じるのは簡単に思ってるからでしょ?そんな風に思ってるなら、痛い目見るわよ。明日、一応君を含む一年生は皆ある儀式をするわ。それを終えたら、あなたの考えは変わるわ」  んなこと言われてもなぁ…、と断には実感が湧かなかった。  儀式一つ終えた程度でそこまで変わるものなのか甚だ疑問だった。  倉橋先生との会話を終えた竜夜は職員室を後にし帰宅した。 ー翌日ー  HR開始のチュイムが鳴ると倉橋先生が教室に入ってくる。  倉橋先生は教卓に立つと話を始める。 「はいじゃあ入学して2ヶ月程経ち皆さんも魔法を学び多少は扱いが慣れたようですね。今日は皆さんにある儀式を行って貰います。内容は儀式場に着いてから教えますね」  倉橋先生が促し生徒が儀式場へと向かう。  儀式場は学園の北側にあり、神社のような建物になっている。  ざっと100人程は入れそうなその建物の中に竜夜のクラス全員が入ると倉橋先生が説明を始める。 「では今から儀式について説明します。この儀式場には5体の竜を象った石像があります」  見回すと建物の端々に竜の石像があり、なにやら玉が埋め込まれていてそれが淡い光を放っている。 「その石像の宝玉に手を触れ、名前を告げて言ってください。我は汝を祭し者、敬いし者、我に竜の力と加護を授けてください。儀式はそれだけです。目に見える変化は各々次第に顕れますから、とりあえず石像に並んで儀式を行ってください」  言われ生徒がバラバラと石像に並んで儀式を始めていく。  石像の宝玉には赤、青、緑、黄、白がある。  どれに並ぼうかと竜夜が迷っているとふと気づく。 (あれ?あそこにも石像がある)  竜夜の視線の先には頭の無い石像があった、他の石像に宝玉が埋まってるのと同じ位置にはぽっかりと穴が空いていた。 (ここには何色の宝玉があったんだろ)  気になり歩みよると倉橋先生から声をかけられる。 「あ、霧裂君その石像じゃ儀式できないわよ」 「壊れてるみたいですけど、こいつには何色の宝玉があったんです?」 「それ数年前に誰かに壊されたみたいなのよね、元は黒い宝玉が嵌まってたらしいわよ」 「へ~、そうなんですか」  興味無さ気に言うと更にその石像に近づく。  一応やってみるか。と宝玉があったであろう位置に手を置くと言う。
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