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「私しか知らないんでしょ。仕方ないじゃない。友達としてはほっとけないし」
私のその場しのぎに並べられた言葉に次第に圭の表情が緩んでいく。
さっきまでの空気が嘘みたいに。
私は笑顔で手を振って圭を見送った。
そして教室に一人になった。
張り巡らしていた緊張が一気に抜けて急に体の力が抜けその場に崩れるように座り込む。
指先が震えていた。
「圭……」
そう呟いてさっきまでの圭の抜けきらない温かさを感じながら自分を抱き締めた。
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