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紫条家 東館
本館同様完全洋館造りだが、屋敷内に大きな中庭があってその中には人工池、ビニールハウスや家庭菜園の跡もある。部屋の数が一番多く、そのまんま旅館かホテルとして使える造りになっている。
「ちょっとホンマやばいで」
<こんぴら>の近藤は周囲を警戒しながら、そっと庭側の門を開ける。庭には昔犬を飼っていたのか……6畳ほどもある大きな鉄の檻が三つほど並んでいて鉄の赤錆と檻だけの風景には不思議な違和感を出している。
その檻の一つに宝箱があったので空けると、中から白い粉が噴出し、開けた平山は顔を真っ白にさせた。
「なんじゃこりゃぁぁぁっ!!」
「どこの殉職刑事やねん、アホか!」
「近藤! お前があんなもん見つけるからこんな目にあってもうたやないかっ!!」
と庭の水道で平山は顔を洗い、二人は紫条家東館に入った。
「おい、帰ったで」
「おらんのか?」
<こんぴら>の二人が呼ぶと、廊下の奥から村田村田が姿を現した。
「ああ、すみません。宝箱を探してたので」
そういう村田の手の中には宝箱が三つ、そして十字架三つを手にしていた。
「どうしたんですか? その顔」
「テレビ局のブービーや…… くそー 何でこんなときカメラ回ってないねんっ。こんな美味しいシーンやったのに、リアクションし損ないやないか、まったくっ」
「そんなこというとる場合か平山!」
「まぁまぁ…… ああ、ちょっと待って下さい」と、村田は宝箱をそこに置き、リュックの中からタオルを手渡した。平山は礼を言いタオルでまだ濡れた顔と、体の粉を叩き落とす。
「タオルは差し上げますよ、まだありますから。……外の様子はどうでした?」
どこか暢気な口調の村田の問いに、<こんぴら>の二人は不審そうに顔を見合わせた。
「遠山さんも殺されとった。死体が森にあったわ」
「くそっ! ふざけすぎやでホンマ! 神野さんに続き遠山のおっさん……奴等手加減なしやないか!」
「まぁまぁ。他の生存者の人とは会いました?」
「いいや…… でも銃声はさっきえらく激しいの聞いた。ゾッとするわぁ……」
「困りましたね。そういえば、あのヘンな仮面の男……サタンって名乗ってましたっけ? 彼はコンビで行動するようにって言っていましたけど、<こんぴら>さんの相方は片山さんですよね? 彼は今どこなんでしょうかね?」
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