霙と霰

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 新宿区の高級住宅地よりにある都立サロメ高等学校。 辺りには大きな杉の大木、桜の木や椿、つつじ、梅、イチョウなんかも植えてあり、都会にいながらも緑に囲まれている場所だった。 ここでの私たちは月野を名乗っていた。月野霰、月野霙。これが私たちの本名だった。 「霰、そっちのクラスは楽しい?」 「ぜーんぜん……普通かな?」 「同じクラスだったら良かったのに」 「先生たちが見分けがつかないからじゃない? たまにサボったりするし、好都合よ。ふふふっ」 霰は2年1組、私は2年2組だった。離れることなんて今までなかったから、凄く寂しかったんだけど、霰はそうでもない様子だった。 「霙……そういえば、今日うちのクラスに変な転校生が入って来たの」
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