3/3
前へ
/11ページ
次へ
男が人間を創り出して10年後、世界は突然に不幸、いや地獄と化した。 その人間が生みの親である研究者を殺害し、厳重な鍵で閉ざされていた研究所を抜け出し、街を襲い始める。平和慣れしていた街の人々は突然現れた悪意から逃げ惑い、日常は一瞬で崩れ落ちた。 ただ街を管理する側、つまり王国軍は人々とは違って冷静であった。たかだか一人の暴走。魔法を極めた我らが負けるはずがない、と。国王は軍を派遣させると暫し休憩とすると言って寝室へと向かった。 しかし王が目覚めることはなかった。 「にんげん」は人類が栄華を極めた文明をあっという間に地獄に叩き落とした。まるでおもちゃを壊すかのように、人々を殺戮し、街を破壊し、世界を闊歩した。 人々に届けられる知らせはどこの街が落とされたという知らせだけ。さらに言えば王国がこういった事態に備えていなかったため、ただ泣き叫ぶだけで生きる術を持たなかった。 7日間で王国の9割が壊滅。死者はゆうに国民の7割を超え、美しい景観を誇った国土は荒れ果てた。 そんな中立ち上がったひとりの少女。神に愛されしと言うべきほどの力を持った彼女は6人の英雄と共に「にんげん」に戦いを挑み、3日間にも及ぶ激戦の末に勝利。 この悲劇の果てに人類が得たものは何もない。失ったものを数えるとしたら残ったものを数えたほうが早いほど。 6人の英雄はこの世界を復興させるべく、各地に散りそれぞれを王とする国を建国した。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加