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「ウェイン、いつもご苦労さま」
「ん」
ウェインと呼ばれた少年はそっけない態度で返事をする。新雪のような白い髪は歩くたびに優雅に靡き男性的というよりは女性的というべきか。深淵の闇を思わせるような瞳は見るものを本当に闇へと誘いそうなほどの引力を感じる。
そしてその瞳に浮かぶ十字架の模様。
「しかし、Xランクの討伐クエストをわずか1時間で終わらせてくるとは、流石だわ」
声の主の女性は赤い髪は腰にまで届くほど長いものの日頃の手入れが行き通っているのが分かる程綺麗なもので、南国の海を連想させる瑠璃色の瞳は宝石のようだ。神による設計でもされたのか顔のパーツは完璧というしかない。
彼女の名前はレイファ・リオネル。この戦士ギルド「騎士の栄光」のギルドマスターでもある。年齢は28歳と若く、世界でも最も有名な女戦士である。
「討伐対象を探すのが手間取ったせいで余計に時間がかかったよ」
二人が話す部屋は所謂ギルドマスターの部屋であり、一般人は勿論、ギルドメンバーでさえ入ることが禁じられている部屋である。レイファの机の上には崩れそうな書類の山がある以外特に変わった点はない。
ただ一見そう見えるだけで来客が座るであろうソファーは高級品であり、座れば反発することなくフカフカに沈みそうだ。
「はい、レモンティーよ」
また無愛想にカップを受け取るウェイン。だがレイファは何も言わず自分用に注いだカップを持つ。
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