知らない横顔。

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  「いつ買ってきたの、それ」  私は目の前でハンバーガーにかぶりつこうとしている親友を見た。 「さっき。体育の授業出ないで行ってきた」  どうやら4時限目のことらしい。  親友の一色愛美は、中学の頃からの私の親友。仲良くなってからはずっとメグと呼んでいる。  体育の授業をサボってジャンクフードを買いに行ったメグは、これでも生徒会長だ。  ちょっと派手な美人で、でも言動はいつも大胆で、そのギャップがいいと男女問わず人気者。  ちょっと地味っ子な私からすれば、できすぎなくらいの女の子だ。 「またサボったの。呆れた」  メグのゆるゆるとした天然の巻き毛が、楽しそうに揺れた。 「いいの。どうせ、あさみんの授業だし」  あさみんっていうのは、メグのクラスの担任の、浅海亮先生。  浅海先生が自分のクラスの担任で何かと甘いからって、メグはよく授業をサボるみたいだ。 「そういうの、よくないと思うけど」 「いいの。これはあたしと、あさみんの問題なんだから。あたしら、勝負してるの」  よく判らない理屈を持ち出しながら、メグはモグモグとダブルチーズバーガーを咀嚼する。 .
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