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メグは、浅海先生を嫌っているように見えた。
何かと浅海先生に食ってかかるし、直接悪態をついているところを見たのも二度や三度じゃない。
その度、精神的にダメージを受けているのは浅海先生の方のように思えた。
そりゃそうだ、立場として当たり前の大人の意見を淡々と口にするしかない先生と、全力で次から次へと屁理屈を繰り出す女子高生とじゃ、先生の方が分が悪いに決まってる。
メグと言い合いをした後どっと疲れて肩を落とす浅海先生の姿を見ていると、気の毒になってしまうのだった。
「そんなことばかりしてたら、嫌われるよ」
「大丈夫。もう嫌われてる」
強気な生徒会長を見ながら、私は肩を竦めた。
放送室の真ん前のベンチで日向ぼっこしながら食べるお昼はおいしい。
でもそろそろここでお昼を広げるには、辛い季節かも。木枯らしが足元を吹き抜けて、ぶるりと震えた。
自分で焼いた卵焼きを口に入れながら、その冷たさに小さく身を竦める。
「あ。あさみん」
不機嫌そうなメグの声にふっと顔を上げると、校庭でサッカーをしている男の子達に誘われて、浅海先生が1階廊下の窓から顔を出している。
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