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「朱音!」
お昼を終えて、教室に戻る途中呼び止められた。
振り返ると、そこには1年上の先輩──甲斐涼太がいた。
本当に赤ん坊の頃からの幼なじみである彼は、もう私の兄みたいなものだ。
夏まで野球部にいた涼太くんは、身体も大きいし目立つ。周りも涼太くんに視線を吸い寄せられる。
「また、外でメシ食ってたの」
笑いながらやってきた涼太くんを見て、隣にいたメグがあくびをした。
「そうよ。何か文句ある」
「お前に訊いてないし」
更に視線が集まる。理由は、生徒会長と野球部の元キャプテンが並んでいるから。
涼太くんとメグは、私を介してケンカ友達みたいなものだ。
でも、よくこうして一緒にいるせいか、ひそかな噂になっていることを、私は知っていた。
野球部の甲斐と、生徒会長の一色は付き合ってるんじゃないか──っていう。
「うわ。ポテト臭い。何お前、またジャンクなもの食ったな。ちょっとは朱音を見習って弁当作るとかしろ」
「親友と揃って同じことして、何が楽しいのよ。朱音がこういうの食べるなら、作ってやってもいいけど」
「何それ」
「親友だからこそ、対照的であるべきなんだから」
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