215人が本棚に入れています
本棚に追加
「仁志くんが付き合ってるのは、あの人より更に年上の人。それも結婚してる女。それでもお前、初恋そのまま続けるつもり?」
強い瞳とは裏腹に、涼太くんの眉には言ってしまってからも迷いが残っていた。
それは、涼太くん自身もまだその事実を受け止め切れてない証拠なのかも知れなかった。
結婚している女性と──って、そういうのって、不倫って言うんじゃ……。
呆然と立ち尽くす私に、涼太くんは溜め息混じりに落とすように続けた。
「……毎週土曜日。真昼間。地元の駅前のカフェで仁志くん、その女とけっこう堂々と逢ってる。嘘だと思うなら、確かめてみればいい」
それだけ言って、涼太くんは踵を返してその場から立ち去った。
今日は、金曜日。
明日は、土曜日。
.
最初のコメントを投稿しよう!