【罪は昏い深海へ。】

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   かつての黒髪の彼女に対しては、触れたら汚してしまいそうな気がする……なんて散々悩んだのに、流華さんに対してはまったくそんなこと思わなかった。  流華さんの頭を抱き寄せて、そっと撫でた。  もうとっくに想い出の中の人にそうして優しくしていると、胸の奥からじくじくと痛み出す。  その痛みが鮮やかなことに、安心して溜め息をついた。  俺は、判っている。こういうのも、自傷行為っていうんだ。 .
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