【罪は昏い深海へ。】

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  帰ってきて、息をつきながら外した腕時計をローテーブルの上に転がした。  カーテンを閉めると、チリンと寒々しい音が鳴る。1年中響くこの音ももう慣れっこだ。  携帯に、また流華さんのアドレスが入っている。  ……やってしまった。  後悔ともつかない微妙なこの感じ、どうにも居心地が悪い。  ヒーターを入れてテレビを点けると、能天気なクリスマスソングのアレンジが流れてくる。  この時期のCMは節操なくそんなものだ。そういうのを耳に入れる気にはなれなくて、テレビを消した。  ホテルを出る前にシャワーを浴びてきたから、もうこのまま眠ってしまってもいいんだけど。  真夜中よりも明け方が近い午前4時。  もういっそ朝陽を拝んでから眠ろうかな、と思った。  冷蔵庫から、缶チューハイを取り出して開ける。とっくに酔いは醒めていた。  薄暗いままの部屋で、開けたばかりの少し重い缶を咥えながらコートを脱ぐ。  缶の中身の半分程を一気に飲んでしまってから、息をついてベッドに腰を下ろした。  ローテーブルに置きっぱなしになっていたリモコンを手に取り、コンポの電源を入れると、静かに音楽が流れ出した。 .
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