枯れ果てたいくらい。

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   ある種の心構えをして、示された液晶画面を確認した。 “せんせい、おしえて。”  一瞬、目を疑う。  キラキラした絵柄が飛び込んできた。  したり顔の男の膝にセーラー服の少女が跨っているとはいえ、ただの少女漫画じゃないか。  でも、自意識の強い高校生が普通に手に取って買うには、ちょっと恥ずかしい表紙かも知れない。  かといって、大人の女性がレジに持っていく姿もどうかと思うけど。  こういう漫画のターゲットはいったいどこなのだろう……と思いながら彼女を少女漫画コーナーに案内した。 「何か、すみません。恥ずかしいのもあるんだけど、チカン、怖くて」  派手な表紙の方を隠すように本を抱えて、女子高生はわずかに頬を染めながら俯いた。 「チカンですか?」  あたしがキョトンとして首を傾げると、何か親しみでも感じたのか女子高生はまた身体を寄せてくる。 「今うちらの間でちょっとそういう話があって」 「どういう……?」 「エッチな少女漫画とか、レディコミ? とか……雑誌の立ち読みしてたら、急に隣に男が来て、身体触られたりとかされた子がいるって」 .
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