運命の存在を信じますか?

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   そりゃあ、私だって不倫は嫌いだ。  坂田先生にはやめてもらいたい。  私の坂田先生に対する複雑な思い入れなんてなかったとしても、ただの近所の優しいお兄ちゃんでしかなかったとしても──きっと、嫌だっただろうと思うし。  メグが無言で“自分の恋愛のことは放っておいて欲しい”ってオーラを出すから、私も涼太くんもそこに触りにいけずにいるわけだけど……。  親友を弄んでいるなら、浅海先生にだってそんなこと、やめて欲しい。  だけどメグがこれでいいって言い切っている以上、私の考えていることは下品なおせっかいだ。  坂田先生のこともメグのことも気になって、どちらにも集中できていないのが自分で判る。  すごく中途半端で、いい加減な人間だ。私は。 「ちょっと、お手洗い……」  用意してあるお昼は学校で食べてしまって、3人でどこか行こうかと話し始めているメグの声を遮り、私は席から立ち上がった。  職員会議は1時からだそうだ。  廊下を早足で駆け抜けていると、教頭先生が校内放送でそう流していたのが耳に入った。  昼休みにその人がどうしているのかは判らなかったけど、とりあえず私は当たり前にそこにいるんじゃないだろうか、という場所に足を向けた。 .
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