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コンコン、と鉄のドアをノックする。
おせっかいだとは思ったけど。今日、今このタイミングでここに来ることはなかったと思うんだけど。自分でも。
中から「はいよ」と声が聞こえて、私は「失礼します」と重いドアを開けた。
──体育教官室。
足を踏み入れると、そこにはコンビニおにぎりを口に咥えながらお茶を入れようとしている浅海先生しかいなかった。
「……こんにちは。浅海先生、ひとりですか?」
「芹沢か。ひとりだけど、どうしたよ」
ギギ……と音がして、手でドアを押さえたけど閉まる瞬間どうしてもバン、と大きな音が響く。
「ちょっと、お話が……」
浅海先生はふとお茶を入れる手を止め、私を見た。
「告白なら間に合ってるぞ」
「し、しません! そんなんじゃ……!」
びっくりして口をぱくぱくさせていると、浅海先生はククク……と笑った。
「判ってるよ。愛美のことだろ? お前、絶対来ると思ってた」
浅海先生は残ったおにぎりを口の中に入れてしまうと、グイと一気にお茶を飲み干した。
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