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人の反応を見て楽しんでいる人間の、どこがお人よしなのよ。
そう言い返してやりたかったけど、更に何か畳み掛けられそうな気がして、また口唇を噛んだ。
このやり込められる感じが、兄貴と話している時と本当によく似ている。
が、ピンポイントで他人の羞恥心を突いてくる、というのは間違いなく悪癖だと思う。
すると、ふと寂しくなった。
こうして恥ずかしくなる瞬間が、同時にとても愛おしく思えることがあったのに、と。
あたしが力なく顔から手を下ろしたその仕草を見、虹原さんは表情から笑みを消した。
「そういえば」
「え?」
「ここのところ、近くの本屋でチカンが出るって話、聞いたことある?」
突然訊かれて、きょとんとしながら顔を上げる。
「そういえば、昨日来てた高校生の女の子が、そんなこと……」
「まだ書店業界のネットワークでそういう注意喚起は来てないのか」
「うん、今日の勤務中も特には……」
あたしは、昨日の女子高生の姿を思い浮かべながら、彼女に言われたことを思い出した。
『エッチな少女漫画とか、レディコミ? とか……雑誌の立ち読みしてたら、急に隣に男が来て、身体触られたりとかされた子がいるって』
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