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あたしくらいの年齢になれば、“女の尊厳”を守るために怖くても声を上げることができるようになるけど、１０代の女の子のほとんどは驚いて恐れてしまう。
卑怯な人間はあえてそこを狙ってくるんだろう。
だから、女の子は容赦てしてやる必要はないんだ。そんな卑怯なもの相手に。
どうしたって、力では男性には敵わないんだから。
思考と呼吸が詰まりそうになって、あたしは虹原さんが書店巡りをしていたという話をふと思い出した。
「……あの人、気になってって言ってたけど、どうする気だったんだろう……」
ぼーっと犯罪現場を目撃するために、好奇心の塊のような作家という人種が出て来るとは思えない。
まさか、捕まえる気だったのかな。
虹原さんの好奇心だらけの目を思い出して、あたしはぞっとした。
これが兄貴なら、「犯人を追う刑事や探偵の気持ちが判るかも」なんて言い出しそうだ。
同じような思考回路の持ち主なら、虹原さんはやる。
絶対にやる。
何と無謀な、と思いながらあたしは自分にできる対策は何かないかと考え込んだ。
名札の件もそのうち店長に進言してみよう、などと思いながら。
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